異常なゲーマーの日常
私は自分のゲームに対する異常なプレイスタイルを『デバッカープレイ』と勝手に名付けて読んでいる。
ゲーマーであれば、プレイしているゲームを楽しみ尽くしたいと思うのは当然だ。
プレイが上手くなりたい、アイテムを集めたい、ストーリーを理解したい。
そういったゲーマーに普遍的にあるであろう欲求に、こじれた完璧主義が絡みついて年々熟成された結果が『デバッカープレイ』である。
私はプレイするゲームのコマンドは全通り入力したいし、期間限定要素を余すことなく収集したいし、全てのパターンのテキストを読みたいと思ってしまう。
そのために、異常ともいえる時間をかけてゲームをプレイしてしまう、もう『病気』ですこれは。
一番悪化していた頃のプレイスタイルは散々なもので、まずプレイ前に説明書を一字一句漏らさず読み切る。
冒頭の注意書きから、最後の問い合わせ先の電話番号まですべて。
――どうせ10秒後には忘れているのに。
ゲームが始まればチュートリアルではすべてのボタンの組み合わせをまず試す。
予定にない行動をした時のテキストがないかを確認する。
調べられるところはすべての方向から調べ、テキストが出るのならば最低2回は確認する。
――ゲームの本筋にはまったく関わらないのに。
入手可能な要素は後回しにせず、全て回収してから次へと向かう。
レアドロップアイテムだろうと、序盤ではクリア不可なイベントだろうと後半に残しておくことはしない。
一度所持したアイテムは所持数が許すなら絶対に手放さない。
消耗品も使用できるのは最低でも2つ目からだ。バッグから消えてしまう。
――さっさと進めれば価値のないものも出てくるのに。
イベント戦があれば操作キャラがイベントに突入する動きやパーティの人員・順番に至るまで物語と齟齬が無いように確認する。
もし違和感があれば最悪セーブデータが消える。
――データ上はなんの意味もないのに。
そうして心をすり減らしながらプレイしていって、どこかで自分の思ったような進行ができなくなるか、時間を膨大にかけたことでそのゲームはクリアできずに放置されることになる。
こうしたループを数年続けていったことで、しばらくコンシューマゲームに触れられなくなった。
でも世にはまだ遊んだことのない名作ゲームがまだまだあるし、それに触れずに生を終えたくない気持ちがある。
そう思い立ってここ数年、少しずつ改善してきたもののまだ『雑にゲームをする』ことがなかなかに難しい。
とりあえず1週目でメインストーリーを終わらせるようにする、人と一緒にプレイする、配信などで時間に制限をつけるetc...
ゲーム内の結果ではなくて『ゲームから得たもの』を記事を書いてアウトプットすることも改善の一助になるのだろうか。
三日坊主にもならなかった古いアカウントに、そんな数年ため込んだ想いを少し書き落としたくなった日でした。